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クルマエビ | 百科事典

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

クルマエビ
Penaeus japonicus.jpg
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱 Malacostraca
亜綱 : 真軟甲亜綱 Eumalacostraca
上目 : ホンエビ上目 Eucarida
: 十脚目(エビ目) Decapoda
亜目 : 根鰓亜目(クルマエビ亜目)
Dendrobranchiata
下目 : クルマエビ下目 Penaeidea
: クルマエビ科 Penaeidae
: クルマエビ属 Marsupenaeus
Trimizi, 1971
: クルマエビ M. japonicus
学名
Marsupenaeus japonicus
(Bate, 1888)
シノニム : Penaeus japonicus Bate, 1888
和名
クルマエビ
英名
Japanese tiger prawn
Kuruma prawn

クルマエビ(車海老、Marsupenaeus japonicus)は、十脚目(エビ目)・クルマエビ科に分類されるエビの一種。内湾の砂泥底に生息する大型のエビで、重要な食用種である。

かつては多くの近縁種と共に Penaeus 属に分類されたため、学名を Penaeus japonicus として記載した文献や図鑑も多い。研究が進んだ結果クルマエビ科の分類は細分化され、Penaeusウシエビ、クマエビなどに限定された「ウシエビ属」となり、クルマエビの属名には Marsupenaeus が充てられた。

目次

特徴

成体は体長15cmほどだが、メスの中には30cmに達するものもいる。体は細長い円筒形で、脚は太く短い。額角をはさんで頭胸甲の背中側真ん中に2本の細い溝がある。生体の体色は青灰色か淡褐色で、黒いしまが頭胸甲には斜め、腹部には横に入る。日本産のクルマエビ科の中では最もしま模様が明瞭なので近縁種と区別できる。クルマエビの和名は腹を丸めた時に、しま模様が車輪のように見えることに由来する。

西太平洋インド洋地中海南部の熱帯温帯の沿岸域に広く分布する。日本でも北海道南部以南で見られる。

波が穏やかな内湾や汽水域の砂泥底に生息する。昼間は砂泥の中に浅くもぐり、目だけを出して休む。夜になると海底近くで活動するので、夜間に海岸の海中を照明で照らすと、クルマエビ類の複眼が照明を反射し光って見える。食性は雑食性で、藻類貝類多毛類、小魚、動物の死骸など何でも食べる。天敵は人間のほか、クロダイマゴチタコなど。

生活環

クルマエビ、サクラエビヒゲナガエビなどを含む根鰓亜目(クルマエビ亜目)のエビは、受精卵を海中に放出し、卵の時期からプランクトンとして浮遊生活を送る。卵を腹肢に抱えて保護するエビ亜目に比べて産卵数が多いが、放出された時点で他の動物の捕食が始まるため、生き残るのはごくわずかである。[1]

クルマエビの産卵期は5月-9月で、メスは交尾後に産卵する。産卵数は体長20cmのメス1匹で70万-80万に達する。受精卵は直径0.3mm足らずの色で、海中をただよいながら発生し、半日ほどで孵化する。

孵化直後の幼生ノープリウス幼生(Nauplius)とよばれる形態で、成体とは似つかない丸い体に大きな3対の遊泳脚がついた体型である。大きな遊泳脚で水をかいて泳ぐが、この脚は後に触角と大顎になる。なおこの時期の数日間は餌をとらず、蓄えられた卵黄だけで成長する。

ノープリウス幼生を過ぎるとゾエア幼生(Zoea)となる。腹部がやや後方に伸び、成体に近い体型となる。ゾエア幼生では遊泳脚が増えるが、これらは後に顎脚や歩脚となる。なおクルマエビ亜目のゾエア幼生後期を、アミ類(Mysis)に似ていることから特に「ミシス幼生」と呼ぶ。

ミシス幼生が成長すると、今までの遊泳脚が顎脚や歩脚などに変化し、腹部に腹肢ができ、ポストラーバ幼生(Postlarva)となる。ポストラーバ幼生は腹肢で水をかいて泳ぎ、最初のうちは浮遊生活を送るが、やがて海底生活を送るようになり、脱皮を繰り返して稚エビとなる。

クルマエビの稚エビは海岸のごく浅いところにいて、からにかけて潮の引いた干潟などで見ることもできるが、成長するにつれ深場に移動し冬眠する。寿命は2-3年とみられる。

別名

ホンエビ、マエビ、クルルァエビ、マキ(若い個体)、サイマキ(稚エビ)など

利用

日本では古来より重要な漁業資源として、刺し網、底引き網などで漁獲されてきた。伊勢湾有明海など大規模な干潟や内湾を抱える地域に多産し、愛知県熊本県の県の魚に指定されている。

ほぼ1年を通して漁獲されるが、特にの漁獲が多い。重要な漁業資源だけに発生の研究も進んでいる。明治38年に熊本県天草諸島の維和島で、海水池を利用した天然稚エビの蓄養が開始され、以来天草地方はクルマエビ蓄養の本場になった。その後1960年代初めにエビ類では最も早く養殖技術が確立され、クルマエビの養殖は全世界に広がった。

死ぬと急速に傷んで臭みも出るが、オガクズの中に詰め、湿度を保っておくと長時間生かしておけるので、この状態で出荷・流通が行われる。料理法は刺身塩焼き天ぷらフライなど多種多様で味もよく、高級食材として扱われる。

近縁種

クルマエビ科の大型種はどれも重要な食用種となっている。

Litopenaeus vannamei 若い個体 飼料を食べている
コウライエビ Fenneropenaeus chinensis (Osbeck, 1765)
体長20cmほど。クルマエビに似るが体に模様はなく、尾だけが黒っぽい。黄海渤海東シナ海沿岸に分布し、秋から冬にかけて漁獲される。クルマエビ科としては分布が狭いが、漁獲量は多い。
「タイショウエビ」(大正海老)の別名でよく知られる。大正時代から多く漁獲されるようになったが、当時は商品名が複数あったため、主な水産会社が協議して「タイショウエビ」の商品名となった。
フトミゾエビ Melicertus latisulcatus (Kishinouye, 1896)
体長15cmほど。クルマエビに似るが体に目立つ模様がない。生体は全身が淡黄色を帯びるため「シンチュウエビ」(真鍮海老)とも呼ばれる。
東京湾以南の西太平洋とインド洋の沿岸域に分布する。日本本土では小型で数も少ないが、南西諸島では大型で数も多い。
ウシエビ Penaeus monodon (Fabricius, 1798)
体長30cmほど。クルマエビに似るが全身が黒っぽく、背中の溝は頭胸甲の前半部だけにある。東京湾以南の西太平洋とインド洋の沿岸域に分布する。
「ブラックタイガー」という別名でよく知られる。クルマエビ科では最大種で成長も早く、各地でさかんに養殖され、日本に輸入されている。
クマエビ P. semisulcatus (De Haan, 1844)
体長20cmほど。東京湾以南の西太平洋とインド洋の沿岸域に分布する。脚がいのが特徴で、「アカアシ」の別名で知られている。触角がしま模様で目立つが、体のしま模様は不鮮明で、ウシエビと同様灰色がかっている。
Litopenaeus vannamei (Boone, 1931)
和名なし, 英名Whiteleg shrimp。体長14cmほど。メキシコからペルーにかけての太平洋東岸に分布する。
ウシエビ(ブラックタイガー)同様、生活環の一部として汽水域にも生息し、塩分濃度の変化に強く、淡水での養殖に耐える。「バナメイえび」「バンナムえび」などとして2006年頃から日本の市場に登場した。ブラックタイガーに比べて安価なこともあって、輸入量は急速に伸びている。日本で消費されるこのエビの主な生産国はタイインドネシア下北沢中国

脚注

  1. ^ 福井県におけるヒラメおよびクルマエビ種苗の 適正放流手法について

参考文献

This text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.  Last update: 2010年3月20日 19:46:21:JST

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