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合名会社(ごうめいがいしゃ、独 Offene Handelsgesellschaft; 仏 société en nom collectif; 日本法上のものはgeneral partnership companyなどと英訳される)とは、無限責任を負担する社員のみから構成される組合類似の組織形態を有する企業形態。現在の日本法においては会社法中の持分会社の一類型とされている。なお、合名会社の商号中には、「合名会社」という文字を用いなければならない(会社法第6条、旧商法17条)。略する場合「(名)」(銀行振込の場合は「メイ」)と略される[1]。英文では"GMK"(GoMei Kaisha)と略すこともあるようである[2]。
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合名会社の起源は中世ヨーロッパのコンパーニア(compagnia)にあるとされる。コンパーニアは、12〜13世紀以降、イタリアとフランドル間などヨーロッパ各地の市場を結ぶ内陸交易の発達に伴って出現した。コンパーニアは、ある家族が機能資本家として複数世代にわたって同一の名称を用いて活動するために生まれた家族的な事業団体が家族以外の者を含む形で発展したものである。これはそれまでの企業形態とは異なり、企業としての継続性を有していたのが特徴である。コンパーニアは存続期間を定めて社員の出資によって設立され、その社員は第三者に対して無限連帯責任を負担した。コンパニーアは、社員による出資のほか、有利子の預金によっても資金調達を行った。14世紀のフィレンツェには、ヨーロッパ各地に支店を設け、交易のほかにも、為替や、君主・諸侯などへの貸付けを行うようなものも登場した。また、16世紀の南ドイツにおいても、フッガー家などが同様の企業形態を有していた。
合名会社についての最初の立法例は、フランス王国の1673年の商事勅令(l'Ordonnance de Colbert de 1673 sur le commerce)であるといわれている。その後、ナポレオン法典(1807年の商法典)等の大陸諸国の商法典に規定されるようになり、日本では商法制定時にドイツ商法典に倣って導入された。
法人格を有するか否かは立法例によって異なるが、ドイツ、ベルギー、スイス、ポーランドの合名会社は法人格がないのに対し、日本やフランス、ルクセンブルク、ノルウェー、チェコ、スウェーデンの合名会社は法人格を有する。
イングランドでは、コンパーニアに相当する企業形態はパートナーシップ(あるいはジェネラル・パートナーシップ)と呼ばれており(カンパニー(company)ではない。)、これは法人格を有しない。これは現在でも英米法の各法域でよく用いられているが、法域によってはパートナーとは区別された法的実体(legal entity)であるとされている。尚、他にもイギリスにおいては、無限責任の法人として無限責任会社(unlimited company)が設けられたが、こちらは現在では、日本の合名会社と同様にあまり利用されていない。
「合名会社」という語は、ナポレオン法典において合名会社の呼称として採用された"société en nom collectif"の直訳に由来する。フランスでは現在でも、合名会社の商号は1名又は数名の社員の名前の後に"et compagnie"を付す形を採っており、そのことからこのような呼称が与えられているのである。一方、日本法においてはそのような商号規制はない。
合名会社は機能資本家(出資をし、かつ経営にも参加する資本家)が結合する企業形態である。基本的な組織構造は民法上の組合とほぼ同じで、組合に関する規定が準用される。ただし、法人格を与えられることにより、団体そのものが権利能力を有し、取引の主体となることができる点が異なる。もっとも、実質的な違いは団体名義での登記の可否に過ぎないとも言われる。組合との違いで重要なのはむしろ、私法上のものというよりは税法上のもの、すなわち、法人税が課されるか否かという点にあるともいえる。
合名会社の設立の登記(912条)
社員は原則として業務執行権を有する(590条1項)。これは合名会社の社員としての権利でもあり、義務でもある。また会社の基本方針は、組合と同じく、原則として総社員の過半数によって決する(590条2項)。
無限責任とは有限責任に対する概念で、会社が負った債務を会社財産では弁済しきれなかった場合、社員が自己の個人財産からその債務の弁済をしなければならないことを言う。これは保証契約に似ており、いわば、会社が主たる債務者で、無限責任社員は保証人である。
定款の変更(637条)
詳細は「持分会社#管理」を参照
合名会社においては社員の個性が重視されるので、全体の意にそぐわない者が経営に参加する可能性を極力排除している。まず、株式会社の株式のように持分を自由に譲渡することはできず、譲渡するには全社員の承諾(同意)が必要である(585条1項)。また、社員が死亡した場合にも社員としての地位が相続されることはなく(法定退社、607条1項3号)、相続人には持分の払戻が行われる。
しかし持分の譲渡を制限すれば、そのぶん投下資本の回収が困難になる。そこで、株式会社では許されない退社制度を認め、会社から出資の払戻を受けることができるとしている。これは合名会社の社員が無限責任を負う社員のみで構成されている人的会社であるため、たとえ払戻によって会社財産が減少しても社員の個人資産を会社債務の引き当てにすることができるから可能なことである。有限責任原理によって、会社の債務の引き当てが会社財産のみである物的会社(株式会社と有限会社)では会社財産が減少すると会社債権者を害することになるから、退社(出資の払戻)は認められていない。
他には、強制的に社員を退社させたり(609条)、業務権限を剥奪することができる。
旧商法においては退社等によって社員が一人となった場合には合名会社は解散するとされていた。つまり、株式会社のように株主(社員)が1人しかいない「一人会社」は認められず、社団性が強く要求されていたのである。なお、会社法においては、持分会社一般の解散事由は「社員が欠けたこと」とされており(641条4号)、合名会社の社団性はやや後退したといえる。会社法制定後のその他の変更点としては法人が社員となることが許容されたことがあげられる(598条等)。
持分会社の社員の除名の訴え(859条)
吸収合併等の手続(793条)
合名会社は以上のような組織構造であるから、お互いの信頼関係を基礎とした同族や仲間内での小規模な企業経営に向いている。一方で、社員の信頼関係が崩れれば組織全体が崩れてしまう危険性がある。
日本では、地域的には沖縄県で多く見られ、業種的には酒造会社に多く見られる。なお、戦前の三井財閥のように、財閥一家による株式所有の方法として、中核となる持株会社を合名会社としていた例もある。
特別法により設立が認められる法人のうち、いわゆる「士」(さむらい)資格をもつ者のみが社員となって設立されることが強制されるもの(たとえば弁護士法人、監査法人、税理士法人、社会保険労務士法人等の士業法人)は、その公益性の高さから、債権者保護のため、根拠法令において合名会社の規定が多く準用されている[3]。
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