ひれ(鰭)は魚が泳ぐのに欠かせない手足のようなものであり、ときには地上を這ったり、空中を飛んだりするのにも使われる。体につく位置により次のように分類される。
胸びれと腹びれは左右1対あり、これらを対鰭(ついき)、それ以外を不対鰭(ふついき)と呼ぶ。また背びれの数は1基、2基、3基と数え、前から順に第1背鰭、第2背鰭、第3背鰭と呼ぶ。
ひれの形態は、軟骨魚類、肉鰭類、条鰭類で大きく異なる。
ひれが遊泳以外の目的に進化している場合もある。また進化の過程で、一部のひれが退化していることも多い。
うろこは1つ1つは小さな板や棘(とげ)のような形のもので、これが多数集まって体の表面を覆う。外部の衝撃から皮膚や筋肉、内臓を保護する役割を担う。魚種によって大きさや形は異なり、うろこを持たない魚もいる。硬骨魚類のうろこには樹木の年輪に相当する模様が刻まれており、魚の年齢を知るのに役立つ。
うろこは大きく4種類に分けられる。現存する硬骨魚類の多くは円鱗(えんりん)あるいは櫛鱗(しつりん)を持つ。ヒラメのように体の部分によって円鱗と櫛鱗を有する種類もいる。
詳細は「鰾」を参照
鰾は、魚類のうち原則として条鰭類が持つ器官である。一般には、浮き袋と呼ばれる。
魚の体は海水より比重が大きく、何もしなければ沈降してしまう。そこで、簡単に浮力を得るために鰾を発達させている。鰾は伸縮性に富む風船のような器官で、ガスを溜めたり抜いたりして浮力調節を行う。
原始的な鰾は消化管から枝分かれしており、水面に口を出して空気を出し入れする開鰾(有気管鰾)である。しかし一部の魚類は消化管から分離した閉鰾(無気管鰾)を持ち、鰾の周囲にある奇網からガス腺と呼ばれる細胞を介してガスを取り込む。
鰾は四肢動物やハイギョの肺と相同である。かつては鰾が肺に進化したと思われていたが、実際は、肺から鰾が進化した。初期の硬骨魚類は、淡水生活の中で空気呼吸の必要から肺を発達させたが、水中生活へ適応した条鰭類が鰾を持った。
そのため、硬骨魚類が肺を獲得する前に分岐した軟骨魚類には鰾も肺もない。軟骨魚類にはサメ・エイが含まれ、鰾の代わりに肝臓に脂質を蓄積することで浮力を得ている。条鰭類が肺を鰓に変化させる前に分岐した肉鰭類は、鰾の代わりに肺を持つ。ただし例外的に、現生シーラカンスのラティメリアは脂肪で満たされた鰾を持つ。
条鰭類でも一部の原始的な目では、鰾は肺の機能を残しており、鰓呼吸とは別に肺呼吸を行う。また、底生魚類や深海魚の中には、鰾を二次的に喪失したか非常に小さくなったものが多い。
詳細は「魚眼」を参照
魚類の目は哺乳類の目とは異なり、4種類の錐体細胞を持ち、紫外線領域の視覚をも持つ。このため、人の目にはオスとメスの区別がほとんどできない魚でも、紫外線の反射率がオスとメスで大きな差があることから、魚自身には両者の視覚上の差は明瞭にみえている可能性がある。
魚類の分布は世界中に渡る。その環境によって異なった種が見られる。ただし魚類はすべて水中生活である。その生活している塩分環境によって、便宜的に2 つに分けられる。すなわち、海で生活する海水魚、河川や湖沼など内陸の淡水で生活する淡水魚である。しかし、海水と淡水の混じり合う河口などの汽水域で生活する汽水魚や、海水・淡水どちらでも生きられる魚もおり、この区分は必ずしも厳密でない。また、海水魚は塩湖に生息する魚も含めて塩水魚と呼ばれることもある。一部のものは生活史の中で海と陸を往復し、これを通し回遊という。
海では海岸線から外洋、深海まであらゆる所に生息する種がある。特に水深200m 以深の深海に生息するものを深海魚という。インド洋から太平洋に多くの種があり、大西洋には種数が少ない。これは大西洋が魚類の誕生よりあとに生じ、その後の外からの進入に頼らざるを得なかったためである。
陸水では湖や池、川に多くの種があり、洞窟の中だけに見られる魚、地下水に生息するものもいる。陸水は陸と海水によってそれぞれ孤立しているので、淡水魚には地域による種分化が見られる。しかし、上位分類群はごく広い分布域を持つものが多い。これは魚類の進化の多くが大陸移動以前から起こってきたためである。
陸上は魚類の生活には適さないが、これは陸で体を支えるしくみを持たないことと、呼吸器が水から呼吸するようにできていることが大きい。例外的に鰓以外で肺や腸、皮膚でも呼吸を行い、あるいは体の下面にあるひれで体を支えて陸を移動できるものがあり、干潟や湿地など陸上である程度生きられる魚、さらに発達した鰭で陸上を這って移動したりする魚もいる。しかしこれらの大部分も主な生活は水中であり、トビハゼのようにむしろ陸にいる時間が長いものでも、皮膚の乾燥には耐えられないし、生殖や仔魚・稚魚(幼魚)の生活は水中である。
同様に、乾期に水が無くなる場所では魚は生息できず、水が入るたびに外から侵入することになる。しかし、一部の種は乾燥期を特殊な方法で乗り切る。たとえば肺魚には泥の中に繭を作ってそこにこもり、水がない季節を耐える。卵生メダカの一部は、卵が土の中で生き延び、水が入ると孵化する。しかし例えばアルテミアのように完全に乾燥した状態に耐えるものはない。
繁殖形態は卵生および胎生(卵胎生)である。卵は卵黄(栄養分)の割合が比較的多く、卵割は盤割を行うものが多く、小さな胚が大きな卵黄にくっついたような状態で発生がすすむ。孵化した仔魚は卵黄を抱え、しばらくは卵黄の栄養分を使って成長する。サメ類、エイ類、カダヤシ、カサゴ、ウミタナゴなどの仲間には、体内で卵を孵化させて子供を産む卵胎生のものもいる。
繁殖習性も様々である。卵胎生のものは体内受精だが、大多数は体外受精を行う。その際に多数が集まって抱卵放精を行うものから、雌雄一対によるものまで様々な配偶行動が見られる。
魚類の幼生は、すべて少なくとも魚類の体制を備えて孵化する。その点では直接発生的である。しかし、その中では群によっては成魚との間にそれなりに変化があり、中には見かけ上の姿が大きく変わるものも存在する。
とくに真骨魚類は生まれたばかりの頃を仔魚(しぎょ)、少し成長したものを稚魚(ちぎょ)といって区別する。両者の間には明確な形態的変化があり、これを変態と呼んでいる。稚魚は体の大きさこそ小さいが、成魚と同じ形質を備えている。それに対して仔魚は成魚と形態的にもかなり異なっている場合が多く、知識が無ければ、仔魚を見て成魚の姿を想像することは容易ではない。実際、いくつかの魚種で~幼生と名前があるものは、発見時に親とは別の種だと思われて付けられた名前の名残であることが多い。ただし、全ての魚が変態を行うわけではなく、仔魚・稚魚の区別がはっきりしない種もある。
仔魚期に特徴的な形態をとることの意義は、多くの場合、浮遊生活への適応である。まだ十分な遊泳力を持たないため、水平方向に泳げないばかりか、そのままでは海底に沈んでしまう。そこで体に大きな棘や糸状の構造物を生やしたり、ひれを大きくしたりして浮力を得ている。棘は捕食に対する抵抗でもある。また、外見からは分からないが、体液の代わりに比重の軽い水や油、気体を溜めて沈降を防いでいる場合もある。
無顎類であるヤツメウナギの場合、幼生はより単純なアンモシーテス幼生の時期を持つ。これはこの類そのものがより簡単な体制を持つということもあるが、これをナメクジウオに対応させる考えもある。
生物の進化の歴史では、脊椎動物の中で無顎類が最も古く生まれ、次いで顎口類の魚が現れたと推定されている。
シルル紀後期からデボン紀にかけて魚類は一気に種数を増やし、それ以降はほぼ水中における優占的な地位を維持している。その出現はさらに古く、カンブリア紀のものである澄江生物群のミロクンミンギアなどが現在知られる最古の無顎類と言われている。それ以外の群はデボン紀には化石が出そろうが、一部はシルル紀後期からも発見されているため、その頃にはおおよそ各群が分化していたと考えられる。
「動物は海から生まれた」と言われるが、魚類の進化を見ると、その当初から淡水での生活が大きな役割を果たしていたと考えられる。魚類の分類群ごとに見ると、軟骨魚類と全頭類は大部分が海産であるが、無顎類にも淡水産があり、硬骨魚類の中で原始的なものと考えられる肉鰭類や全骨類などは大部分が淡水産である。化石的証拠から見ても、魚類の進化に於いて、かなり早い時期に淡水への侵入がおこなわれたと見て良い。
現在の硬骨魚類は、おそらく淡水で進化し、肺を持っていた。その一部が陸に進出して両生類へと進化した一方、海に戻って大発展を遂げたものが現在の魚類の大部分を占める真骨類になったものと思われる。肺はその機能を失い、浮き袋として用いられている。逆に考えれば、海中に留まっていた原始的な魚類は過去の大量絶滅でほとんどが絶え、それがゆえに淡水に進出したものの生き残りが海への回帰と大発展を遂げられたといえる。
魚は世界中で食物として利用される。四足の獣を食べることを禁じられていた仏教徒の多い国ではより重視される。捕らえるために様々な方法が開発されている。代表的なのは銛(もり)などで突く方法、網ですくう方法、釣りなどであり、それぞれに各国で、あるいは対象によって様々な方法が工夫されている。中には動物を使役する(鵜飼いやカワウソ等)などの特殊な方法もある。それらは食料確保のためでもあるが、趣味としても行なわれている。
特に四方を海に囲まれた日本人にはなじみ深い食材で、古くから「食べてはいけない魚」と「食べられる魚」に分けられ、「不味い魚」「美味しい魚」という実用的な観点から魚の種類への関心が高い。貝類や甲殻類とあわせて魚介類と言うことも多く、それらは魚屋で扱われる。魚の字は元は「いを」「うを」、食用(副食物)としては単に「な」と訓じていたが、これが酒の肴(な)であることから、「さかな」とも訓ずるようになった。
焼いたり煮たり、あるいは揚げたりと様々に料理されるが、生で食べるのは日本の刺身など少数派である。傷みやすいものが多く、保存のために塩漬けや干物、燻製、あるいは油漬けなど処理される例も多い。直接的な食品でない例としては鰹節や魚醤がある。
食料の他に肥料や飼料・加工品の原料などとして使われる。また、釣りや熱帯魚鑑賞は趣味として広く親しまれている。日本は周りを海に囲まれていることもあって、世界有数の魚大国である。各地に水族館が建てられ、世界中の魚を見ることができる。
動物分類学の黎明期に於いて、魚類は魚上綱(ぎょじょうこう)として1 つの綱に分類されていた。魚上綱とは、軟骨魚綱、硬骨魚綱、絶滅した板皮綱および棘魚綱の4 つの綱から構成される巨大な分類群であった。しかし、以下の理由から現在ではあまり用いられず、また分類学上も使用は好ましくないとされる。新分類では、脊椎動物亜門の下に無顎上綱と顎口上綱を設け、そこに魚類および四肢動物を含める。
また、魚類からは四肢動物(両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)が分岐して生まれている。すなわち魚上綱と呼ばれる生物のグループは側系統群(単系統群から一部の群を除いたグループ)であり、純粋な分岐分類学では有効な生物分類の単位とはされない。
もっとも「魚類」は「爬虫類」などと同様に今後も実用性の観点から使用されていくことであろう。ただし「魚類」の範囲がどこまでか(無顎類を含むかどうか等)は曖昧さが残る部分である。
分類学上の問題点も無視できないが、本稿では無顎類も示すこととする。また全体の分類体系はNelson の分類に従った。
魚類を分類するにあたって使用される特徴のうち、特に注目されるのが鰭の形態である[1]。背鰭の数、胸鰭と腹鰭の位置、脂鰭の有無などが、分類上の重要な形質となる。例として、系統的に古い魚類(コイ目など)では腹鰭は体の中央付近に位置するが、比較的高等な魚類(スズキ目など)ではずっと前方に移動し、胸鰭のすぐ下であったり喉の位置にあったりする。胸鰭と腹鰭を近づけて連動させることで、より効率の良い運動が行えるようになったものと見られている。また条鰭類の魚類では、各々の鰭が何本の棘条と軟条で構成されているかによって、系統的に近い種類・遠い種類を見分けることができる。これらの鰭の構成は分類上極めて重要な要素であるため、専門的には略号を用いて「D.XII,9; A.III,8; P1.26~28; P2.I,5」のように表し、これを鰭式(きしき)と呼ぶ。アルファベットは鰭の種類(D:背鰭、A:臀鰭、P1:胸鰭、P2:腹鰭)を、ローマ数字・アラビア数字はそれぞれ棘条・軟条の数を表している。
分類に用いられる形質として、骨格や鱗もまた重要な要素である。より進化した高等な魚類では、骨の癒合・省略が進み、全体の数が少なくなる傾向がある。これは脊椎動物全体に見られる特徴で、ウィリストンの法則と呼ばれる[2]。鱗は上述したような形態の区別の他、側線を基準に計測した鱗の数(側線鱗数や横列鱗数)が分類形質となる。
魚類は様々な体型や体色をしており、これらは見た目にわかりやすい特徴ではあるが、少なくとも目のレベルでの分類に使用されることは少ない。体型や体色は系統よりもむしろ環境への適応を色濃く反映している。科・属・種などの下位分類では、発光器の数と位置(ハダカイワシ類)、交接器の形態(アシロ類)など多種多様な形質が分類に用いられている。
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